黒門亭チケット

【黒門亭で寄席】 1000円


 上野の黒門町に、「黒門亭」という寄席がある。落語協会の事務所の2階、定員40名ほどの小さな和室の寄席。土曜・日曜、各2部構成で、毎週いろんな噺家によって落語が行われている。1部は12時、2部は15時に開演。各部の料金がちょうど1000円。1000円で前座を含む5名の噺家の落語が聴ける。
 1月下旬の土曜日、友人を誘って、隅田川馬石師匠をめあてに行った。
 馬石師匠は、はっきりとした顔立ちで、声と話すリズムが心地良く、知的でひょうきん、可愛げがある。友人を落語に誘うときは、必ず、馬石師匠が出る日を選んで行く。
 風の強い日だったけれど、札止めが出るほどの盛況ぶり。
 馬石師匠は、『居残り佐平次』を演った。
 品川の廓に遊びに行った4人組。遊んでいるうちに金がなくなり、佐平次が居残ることになった。それから、廓は大繁盛。人手が足りず監視の緩んだ隙に、佐平次はどさくさにまぎれ接客に出る。要領良く立ち回る佐平次。やがて、座持ちの良い佐平次をひいきにする客も出てくる。
 使用人たちにやっかまれ、廓の旦那に出て行ってくれと頼まれる。佐平次は前科持ちのため、今出て行けばすぐに捕まり、世話になった店に迷惑がかかると言う。旦那は、佐平次が遠くへ逃げられるよう、金と着物、足袋を渡す。
 晴れて居残りから解放された佐平次。が、この佐平次、実は居残りを生業としている確信犯だった。
 馬石師匠の演じた佐平次は、飄々としていてしたたかで、でも憎めない愛嬌があった。
 黒門亭は、高座との距離も近く、噺家の表情がよく見える。好きな噺家がいる人には、かなりおすすめの寄席。
 今月の1000円は、落語に1枚。

2014

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