箸置き

2018年11月 
【箸置き】 800円


 東京国立博物館で開催していた縄文展で、とても印象に残った土器があった。
 展示を見ながら気に入った土器をチェックしていったのだけれど、それがどれも長野県にある井戸尻考古館所蔵のものだった。
 これは行ってみなくては! と11月下旬、1泊2日で長野へ向かった。
 井戸尻考古館は、井戸尻遺跡のすぐそばにある。なだらかな山並みと太陽のあたりぐあいがのんびりとした風景を作り、遠くに富士山も眺められる。かつての景色とのうつろいはあるだろうけれど、縄文人がこのあたりに住みたくなる気持ちもなんとなく理解できる。
 井戸尻考古館の所蔵品の多くは、撮影OKという寛大さ。やはり模様や土器の形が魅力的で、みごたえのあるものばかり。
 たくさん写真を撮っていて、気がつくと、展示室にひとりきりになっていた。自分のスリッパの床を擦る音だけが聞こえる。
 土器の個性が強いので、静かだけれどにぎやかな感じがする。
 受付で、現代作家が作った土偶モチーフの箸置きを販売していた。井戸尻考古館を訪れた記念に1つ購入した。
 昔々、土器を熱心に作っていた縄文人のまなざしを想像した。
 一生懸命、物事に取りくむとき、意識のチューニングを縄文人の意識に合わせられたら最強だ。

2018

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