2017年11月
【舟和の切山椒】 900円
熊手を買い始めて、今年で10年目。
2年目まではソロ酉の市、3年目から一緒に行く人ができて、その人と夫婦になった。
酉の市でおみやげに切山椒を買うことは、2年目に覚えた。
ひとりで参拝の列に並んでいるとき、3人組の老婆たちが、
「やっぱり、酉の市に来たからには、切山椒買って帰らなきゃあ」
と、はりきっていたのを間近にし、老婆の一員になった気分で買ったのだ。
「舟和」の切山椒は、酉の市でしか買えない。そこも購買欲をかきたてられてしまう。
ところで、「切山椒」という名から、どんな食べものを想像するだろうか?
山椒の木の枝? ではない。見た目は細長いおもち。すあまを細長くしたような食感で、味は山椒、ピリリ山椒、ゆず風味の3種。合計12本入っている。
山椒は、葉、花、実、幹、樹皮と余すところなく使えるので、どうやら、そんな有益なチャームポイントが縁起物に採用されたらしい。
切山椒を家でもちもち食べながら、新しい熊手を眺めていると、なにか約束事を果たしたような気持ちになる。そして、もうすぐ師走がやってくるのだなと思い、そわそわするのだった。
2017