2017年5月
【レターセット】 880円
目上の人に送る手紙の封筒選びには気を遣う。
高校時代の日本史の先生は、宮内先生という50代後半の男性だった。
薄茶色のサングラスをかけていて、話し方に勢いがあり、チラリと見られただけで固まってしまう迫力があった。
授業中は、ピーンと空気が張りつめ、他の授業では見られないみんなの緊張した姿があった。
日本史のテストには、教科書と授業中に書いたノートを持参してよかった。が、テストの問題が難解で、授業中に先生がふと述べた豆知識のような情報が問題として出されることも多く、きちんと先生の話を聞いて、自分なりにメモしておかなければ答えられない100点を取れる人は皆無のテストだった。
高校時代の自分はいかにも思春期らしく、先生たちの人格を潔癖な厳しい目で見ていて、すぐにカチンときていたのだけれど、そんな意識で見るまでもない、ぶっちぎりのまっすぐさを放って存在していたのが宮内先生だった。
この人、おっかないけど話してみたい。
こわいもの見たさなのか、そう思った。
ある日の授業後、宮内先生に思いきって話しかけた。
何を聞いたのか内容は覚えていない。けれど、宮内先生の少しびっくりしたような、でも嬉しそうな感じと、情熱にあふれる人ならではの眼光の鋭さは、今でもしっかり思い出せる。
宮内先生は、退職後、『なんでも鑑定団』の地方収録に鑑定士として出演されたり、著書のご出版や講演などもされ、今もオリジナル街道を突き進んでいる。
卒業してからも、時々宮内先生に手紙を送っている。先生の凄いところは、手紙を受け取るやいなや、すぐさま返事を書いておられるのか、驚くほど最速で返事が届く。
ある時の文面に、“上質の紙でのお便り、ありがとうございます”と書かれてあった。
そのとき使った封筒が「いせ辰」のものだった。今月購入したレターセットは、そのときのものではないのだけれど、「いせ辰」のレターセットは、目上の方に好感を持っていただけるはずなので、ぜひおすすめしたい。
ひさしぶりに宮内先生に手紙を書いてみよう。
2017