古着のセーター

2018年12月
【古着のセーター】 1000円


 高校時代、原宿の古着屋によく通っていた。
 一風変わったデザインの服や外国を感じられる古着には、どんな人が着ていたのだろう? と物語を想像する余地があり、外国に憧れていた高校生の自分を刺激した。値段も手頃でいろいろ試せ、ときに奇抜ないでたちになりながらも、服を選ぶ楽しさがあった。
 気に入るものを見つけるのに時間もかかるので最近は着なくなっていたけれど、ちょうど原宿に行く用事があったので、ひさしぶりに古着屋のシカゴへ行った。
 古着屋に来るソロのお客さんは、大量の古着の中から黙々とお気に入りをさがす。シカゴは店員さんに話しかけられる心配がないので気楽だ。
 色や形が気に入っても、穴が空いていたりシミがあったりするものは買わない。しっかりとチェックする。
 ふと、セーターのかかったラックに目を奪われた。茶色いセーターに、黒いフェイクファー、ビーズやレース、ヒョウ柄の布が縫いつけられている。くみあわせがなんとも言えない。だささギリギリのデザインだ。鏡で合わせてみる。ださい。でも完全にツボだ。念のため試着する。やっぱりださい。でも好きだ。一体誰がこれをデザインしたのか。顔が見てみたい。脱いだセーターをレジへ持っていった。
 2018年12月。気晴らし1000円買い物シリーズ5年分のトリを飾ったのは古着のセーター。かくしきれない地が現れた。

2018

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